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System-700:

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  ウンチク :

●System-700 は 1975 年秋の楽器フェアでプロト・タイプが発表され,翌 76 年に発売になった。75 年に発表されたバージョンではモジュールの配置が若干異なり,またメイン・コンソールの下部左右には ARP2600 のように,モニター・スピーカーが取りつけられていた。


●この楽器ではシンセサイザーの機能として考えられるモジュールを多数搭載していた。基本的にはメイン・コンソール,VCO バンク,VCF/VCA バンク,フェイザー/ディレイ・モジュール,インターフェイス・モジュール,アナログ・シーケンサーの 6 ブロックから構成されている。それぞれのブロックに 20 種類,トータルで 46 のモジュールが搭載されている。

 モジュールの選択はユーザーのオーダーにより変更可能である。本 CD-ROM に掲載されている私のシステムはカスタム・メイド版のため,広告とは多少モジュール構成が違っている(メイン・コンソール)。ベーシックなシステム構成については広告資料を参照のこと。


●それぞれのモジュールは CV/ゲート等の基本的な部分はある程度内部結線されているが,ほとんどは独立してバラバラな動きをするように設計されている。したがって多数あるモジュールをどのように使うかはユーザーの選択次第ということになり,かなりの電気と音楽の知識がなければ使いこなすことはできなかった。


●各モジュールは CV が 1V/1oct,ゲートは +15V で統一されており,互換性は完全に保たれ,論理的な音作りが可能となっている。


●System-700 は 100M と同じく,鋭くきついサウンドを得意とする。MOOG 系の太いサウンドより,過激なパーカッシブ・サウンドやエッジのきついベース・サウンドなどに向いている。



●以下は各モジュールの概要である。

☆701A キーボード・コントローラー:

 最低音と最高音の 2 音優先のキーボード。61 鍵仕様でベンダーが装備されていた。

☆702 シリーズ(VCO):

 VCO モジュール。基本的にはパルス・ワイズが CV コントロールできるバージョンと,それはできないかわりオシレター・シンクのできるモジュールの2種類からなっている。

 VCO シンクにはストロングとウィークの 2 つのモードがある。通常音作りにシンクを使用する場合には(ギターのディストーション・サウンド等が欲しいとき)ストロングを使用するが,2 つの VCO を完全なユニゾン,5 度やオクターブにセットしたい場合(VCO 間のビートが邪魔な場合)にはウィークを使用する。

 ピッチ CV のインプットには入力の倍率を変えられるアッテネーター・スイッチがある。これを×1 にすればつなげた信号はそのまま VCO につながる。たとえば鍵盤からの CV は×1 でボリュームを 10 まで上げると,ちょうど 12 音音階になるように設定されていた。したがってキーボードや後に発売された MC-8 から VCO のピッチをコントロールするときにはこのスイッチを×1 に,LFO でビブラートをかけるようなときにはこのスイッチを×1/10 にするとボリュームの調整がやりやすくなる。

 発振周波数は 0.1 Hz ~ 100 KHz までと広いので,オーディオ信号用だけでなく LFO の代わりに使用することも可能である。

☆703 シリーズ(VCF):

 VCF モジュール。基本的にはカットオフの特性が 12dB/oct のものと 24dB/oct のものの 2 種類がある。前者では特性が低い代わりに VCF モードをローパス/バンドパス/ハイパスの 3 つに切り替えて使用できる。後者はモードがない代わりにレゾナンスのかかり具合を CV コントロールできるインプット端子がついていた。

 それぞれのフィルターはレゾナンスを 7 ~ 8 以上にすると自己発振する。この音程も 1V/1oct になるように設計されており,フィルター発振を利用した口笛等の音作りに有利であった。

☆704 シリーズ(VCA):

 VCA モジュール。特性をリニアとエクスポネンシャルに切り替えられる。リニアは通常のシンセについているのと同じ VCA 特性(10%/1V)となるが,エクスポネンシャルにすると(10dB/1V)の特性となり,CV に対する音量の変化幅が極端になる。非常にパーカッシブな音を作るときには使用できるが,設定の仕方が微妙になり使いこなすのはかなりの熟練を要する。

 また,この VCA は DC から 20 KHz までコントロールすることができるので,オーディオ信号だけでなく,LFO の電圧をコントロールしてディレイ・ビブラート用の CV を作り出したりすることもできる。

 この場合,VCA のインに LFO の信号をつなぎ,CV インに ADSR の信号をつなぐ。VCA のアウトは VCO の CV インに接続してやる。そして ADSR のアタック・タイムを遅め(1 ~ 2 秒)に設定し,鍵盤を押してからゆっくりと電圧が上がってくるようにする。すると,鍵盤を押した瞬間は VCA は閉じ LFO の信号は VCO には行かないが,ADSR の出力電圧が上がるにしたがって徐々に LFO の電圧は VCA のアウトに出力され始め,ビブラートがかかり出すというわけだ。

☆705A デュアル・エンベロープ・ジェネレーター(ADSR):

 一般的なエンベロープ・ジェネレーターと同じアタック・タイム/ディケイ・タイム/サスティン・レベル/リリース・タイムによる構成。同じものが 2 つ入っている。

 エンベロープの電圧出力変化の時間はタイムのスイッチで×1 か×1/10 に変更できる。たとえばアタック・タイムのボリュームでいえば,×1 のときにはボリューム最低が 2ms/最高が 10sec となるが,倍率が 1/10 の場合には最高で 1sec になる。通常のサウンドには 1/10 の倍率で充分だが,ディレイ・ビブラート用の電圧を作ったり,VCA のモードをエクスポネンシャルにした場合には×1 で音作りをするほうが便利である。

 また,この ADSR にはマニュアル・ゲート・ボタンもある。このボタンを押すと ADSR を手動で起動させることができ,音作りのチェックや効果音を出す時などに便利であった。

☆706 シリーズ(LFO):

 LFO モジュール。ゲート信号が来てから出力波形が出るまでの時間を遅らせられるディレイ・タイムのボリュームがついたものと,それがない代わりにパルス波の幅を変えられるものの 2 タイプがある。

 パルス波はボリュームでは変えられるが CV コントロールはできない。出力波形のパルス幅を CV コントロールしたい場合には VCO モジュールを LFO 代わりに使用する。

☆707A アンプ/エンベロープ・フォロワー/インテグレーター:

 このユニットは 2 つの使い道がある。1 つは外部からの信号(マイク等)の信号のレベルを上げ,そのエンベロープ信号(音量に対応した電圧)を拾い出すこと(アンプとエンベロープ・フォロワーによる)。もう 1 つはインテグレーターにより,外部からの CV (主にキーボードやシーケンサーからのピッチ・コントロール用 CV)にポルタメントをかけることである。

 エンベロープ・フォロワーで作った電圧を VCF に送ればギターのタッチ・ワウのようなエフェクトを作ることができる。

 インテグレーターは直線性が悪く,ピッチ CV にポルタメントをかけようとすると音程が狂ってしまう。こういう用途には後に発売された System-100M のポルタメント・コントローラー・モジュールを使用したほうがいい。

☆708A ノイズ・ジェネレーター/リング・モジュレーター:

 ノイズ・ジェネレーターはピンク/ホワイトの 2 種類のノイズを出力する。リング・モジュレーターは X,Y の入力に入ってきた 2 つの信号を掛け合わせることができる。ここで出力される信号は X+Y,X-Y という元々の X,Y の音を含まないものになる。このリング・モジュレーターは通常の VCO では作りにくい非整数次倍音を多く含む金属系の音(鐘や効果音等)を作るときに利用されることが多い。

☆709 シリーズ(サンプル&ホールド)

 サンプル&ホールド・モジュール。このモジュールでは外部信号インプットに入ってきた信号をクロック信号が来るたびにサンプリングして出力し,次にクロック信号が来るまで保持(ホールド)する。

 たとえば外部信号インプットにノイズ,クロックに LFO の矩形波を利用すると,一定タイミングでランダムに変化する電圧を作ることができる。シーケンサーのクロック信号を LFO の代わりに使い,出力電圧を VCF につないだりすると,1 音ごとに音色の変わるリズム・サウンドなどを作ることができる。

 また,1 つ目のサンプル&ホールドで作ったランダムな電圧を LFO に送り,この LFO の信号で 2 つ目のサンプル&ホールドを動かすと,ランダムな間隔でランダムに動く CV を作ることもできる(何に使うかは知らないけど)。

☆710 シリーズ(マルチプル・ジャック):

 710A は単純なパラ・ボックス代わりのジャック。710B は 4 つずつのパラ・ジャック 3 組をスイッチでつなぎ合わせることができる。これは使い方によっては,マニュアルで信号をオン/オフするスイッチ代わりにも使用できる。

☆711A アウトプット・モジュール:

 A 音と 1KHz の基準音を出力するオシレターにリバーブと簡易フェイズ・シフターを搭載したステレオ・ミキサー。メイン・コンソールとは内部結線されており,VCA 1/2 の音をミックスできる。ただし音質はかなり悪い(特にリバーブを使用したとき)。そういうわけで,写真に載っている私のシステムではこのモジュールは搭載していない。

☆712A モニター/ボルテージ・プロセッサー:

 711A アウトプット・モジュールのステレオ出力が内部結線されたステレオ・ヘッドフォン・アウト,外部キーボード・コントローラー用接続端子,ボルテージ・プロセッサーが一緒になったモジュール。

 通常キーボードの DIN ケーブルはメイン・コンソールの背面のコネクターに接続される。このとき,ボルテージ・プロセッサーにある KCV/ゲート・アウトにはこのキーボードの信号が接続され,各モジュールの CV/ゲートにもこの電圧が供給される。しかし,外部キーボードを 712A の DIN コネクターに接続しスイッチをコンソール側にすると,712A に接続したキーボードの CV/ゲートがメイン・コンソールに,メイン・キーボードの CV/ゲートがその他のブロックに内部結線される。

 ボルテージ・プロセッサーは電圧供給源として色々な場合に使用される。たとえば VCO の音程を極端に低くしたいとき(レンジを LO にして,さらにピッチを下げたいとき),ボルテージ・プロセッサーの-ボルテージ・アウトを VCO につなげて無理やり発振周波数を下げてしまうことができる。また+ボルテージ・アウトをマルチプル・ジャックで分割し,複数の VCO につなげてボルテージ・プロセッサーのボリュームを上下させれば,複数の VCO のピッチを 1 つのボリュームでまとめて上下させたりもできるわけだ。

☆713A ゲート・ディレイ:

 ゲート信号が +5V 以上になると,ライズ・タイムで設定した時間の後にアウトの電圧が +15V になる。その後,入力ゲート信号が 0V になると,フォール・タイムで設定した時間の後にアウトの電圧が 0V になる。ボリュームの設定のし方が悪いと何の反応もない。何に使うかはユーザーの自由。

☆714B インターフェイス:

 外部の信号音(楽器音や人声等)を拾い,それを解析してシンセサイザーのコントロール信号にするためのモジュール。

 入力信号のうち,音量変化はエンベロープ・フォロワーでエンベロープ電圧になる。またゲート・シグナル・ジェネレーターでは信号が一定レベル以上になっている間ゲート信号を出力する。さらに F/Vコンバーターでは入力信号のピッチを CV に変換することができる。

 たとえば F/V コンバーターのアウトを VCO につなぎ,インターフェイスにマイクをつないで歌をうたうと,(VCO のチューニングがあっていれば)歌った音程と同じ音程が VCO から出力される。また,F/V コンバーターのモード・スイッチをホールドにしておくと,ホールド外部コントロール電圧にゲート信号がくるたびに,入力信号のピッチを CV に変換することができる。そこでここに LFO の信号をつなぎマイクで歌うと,LFO の信号が入るたびに VCO の音程が歌と同じピッチになる。この VCO の信号をボコーダーに送ったりすると,一定のリズムで音程の切り替わる奇怪なボコーダー・サウンドを得ることができる。

 新しいサウンドを作りたい人にとっては,90 年代の今でも可能性を秘めたユニットであると言える。

 ただし F/V の追従精度は後に ROLAND から発売になった P/V シンセサイザーという F/V コンバーター+2 VCO の 2U シンセ・モジュールのほうがずっといい。

☆715A マルチモード・フィルター/オーディオ・ミキサー

 マルチモード・フィルターには 12dB/oct のローパス・フィルター/バンドパス・フィルター/ハイパス・フィルター切替可能なフィルターが 4 組入っている。ただしボルテージ・コントロールではなくボリュームでカットオフ・フレケンシーやレゾナンスを設定する。

 マルチモード・フィルターでは VCF だけでは作りにくい沢山の共振点を持つ楽器の音(たとえばオーボエのような)を再現したり,人の声(アイウエオの母音を作るのに 4 ~ 5 箇所の共振点を作るのが一般的)を作ったりできる。

 オーディオ・ミキサーは 9 インプットのライン・ミキサーである。入力数が 9 というのは System-700 の VCO の数が 9 個あるため,全 VCO の信号を 1 つにまとめることもできるように,という理由による。

☆716A ミキサー(オーディオ&コントロール電圧用):

 3 チャンネルのオーディオ/コントロール信号用ミキサー。音声信号の他に CV のミックスにも利用できる。たとえば 2 つの LFO の信号と ADSR の信号をミックスしてそれを VCO に送る,というような場合に利用する。出力にはインバートとノン・インバートの 2 つがある。ノン・インバートは通常のミックス信号であるが,インバート出力の波形は ± の関係が上下逆になった信号が出力される。

 たとえば 1 つのオーディオ信号を 2 つの VCA につないでおき,それぞれの VCA にインバート/ノン・インバートの信号を接続する。そして 2 つの VCA のアウトをステレオの左右に振り分けてやると,音が左右に移動するオート・パンの効果を作り出すことができる。

☆717A アナログ・シーケンサー:

 アナログ・シンセサイザーのもっとも面白いユニットが,このアナログ・シーケンサーである。アナログ・シーケンサーでは多数のボリュームに CV をセットしておく。そしてそれをクロック信号がくるごとに 1 つずつアウトに出力するわけである。その CV を VCO に接続すれば自動演奏になるし,CV をシーケンサーのクロックを出している LFO に接続すればリズム・パターンを作ることができるわけである。

 717A アナログ・シーケンサーでは 12 個のボリュームが 3 列ある。これは 12 音分の CV を 3 系列送り出す(3 つの VCO につなげば 1 ステップごとに和音が演奏できる)か,12×3 で 36 音分の CV を 1 系列送り出すことができる。また各ステップごとにステップの長さも設定できるのでリズム付 3 和音などが簡単に作り出せた。

 各ステップ・ボリュームの下にあるゲート・アウトからは,シーケンサーがそのステップに来るごとにゲート信号が出力される。これは,ある特定のステップにだけビブラートをかけるといったことにも応用できる。同じく各ステップごとのアナログ・インでは,そこに接続した信号がボリュームを通して出力に出てくる。そこでステップのゲート・アウトを ADSR につなぎ,その ADSR のアウトを同じステップのアナログ・インに戻してやれば,特定のステップでのみ ADSR が働き,その信号がシーケンサーのアウト端子に出てくる,といったこともできるわけである。

 パルス・シェーパーは入ってきたクリック音(メトロノーム音など)をもとにゲート信号を作り出すユニットである。これを利用してテープにタイミング用のクリック音を入れておき,そのクリック信号が来るたびに,ゲート信号を作り,そのゲート信号でアナログ・シーケンサーを 1 ステップ進めて演奏させる,といったことができる。たとえばオーケストラのバイオリンのパートを 20 回多重録音したい,といったような場合に便利な機能であった。もちろん今ではデジタル・シーケンサーでこんなことはいとも簡単にできるわけだが...

☆718A パワー・スイッチ:

 説明の必要はないでしょうね!

☆720B 2 チャンネル・フェイズ・シフター:

 CV コントロール可能なステレオ・フェイズ・シフター。LFO の信号でフェイズをコントロールしたり,音が出るごとに ADSR の信号でフェイズ・シフターを動かしたりといったことができる。2 つのフェイズ・シフターに送るスィープ信号のCH-1だけインバーターで反転させ CH-1/2 の信号を左右に振り分けてやると,音がグルグルと回ったような効果を出せて気持ちがよろしい!

☆721B 2 チャンネル・オーディオ・ディレイ:

 720B と同じ考え方のオーディオ・ディレイ。ディレイといっても遅延時間は 0.5 ms ~ 5 ms なので,フランジャーのような効果になる。もちろんフェイズ・シフターと同じように,音像の移動にも使用できる。

☆723A アナログ・スイッチ:

 このモジュールもユーザーの使い方によって,どうにでもなるものである。たとえばインプット 1 ~ 4 にそれぞれ別の LFO の出力をつないでおく。そしてスイッチ・コントロール・インに 4 ステップで延々リピートするようにセットしたアナログ・シーケンサーのステップ 1 ~ 4 までのゲート・アウトの信号をつなぐ。

 そしてアナログ・シーケンサーをスタートさせると,4 つの LFO 波形が順次切り替わる変な信号が作れるわけである。


●1975 年の楽器フェアで発表された System-700 はフェア会場でも注目の的だった。しかし,フェアの会場で行われていた 700 のデモでは,ノイズの音にフェイズ・シフターをかけてシュワシュワやっているだけであった。まあ,それでも当時は観客が感動したのである。


●アナログ・シーケンサーのステップ・コントロールには当時,TV のチャンネル切り替えに使用されていた IC が使用されている。そういうわけで 717A アナログ・シーケンサーは 12 ステップなのである。


●写真にはアナログ・シーケンサーが写っていない。なぜかというと,System-700 の 717A アナログ・シーケンサーは,クロック周波数が余り高いと正常に動作しなくなるから私は買わなかったのである。この辺はむしろSystem-100Mのアナログ・シーケンサー 182 のほうが優れていた(発売時期が後ということもあって)。また MC-8 が発売されたこともあり,私は System-700+MC-8+100M の 182 シーケンサーという組み合わせで購入した。今にしてみると,見てくれの関係から 717A も買っておけばよかったかな?とちょっと後悔していたりするんだな。


●717A には他のアナログ・シーケンサーにできないシカケもついていた。それがアナログ・インである。ここに CV を接続すれば,特定のステップでだけ,全く違った種類のCV ソースをシーケンサーのアウトから出力できた。たとえば LFO の信号をステップ 2 のアナログ・インに接続しておけば,シーケンサーが 2 ステップ目に来たとき,LFO の信号がアウトに出力されるというわけである。この場合,2 ステップ目のボリュームは LFO の信号レベルを調整するボリュームに早変わりする。うまく考えるとかなりトンデモナイ音作りができるはずである。たとえば 1 ステップごとに違う ADSR が起動するパーカッションの音とかね!


●720B/721B ともにS/N 比は余りよくなかった。そういうわけで,写真に写っている System-700 ではフェイズ・シフターのブロックは入っていない。私は同時期に ROLAND から発売になった 2U のラックフェイズ・シフターとフランジャーを購入した。こちらのほうが音が良かったし,CV コントロールも可能だったからである。


●追加モジュールとして,ユーザーの要望の多かったボルテージ・コントロールド・エンベロープ・ジェネレーターを開発するという話もあったが,結局実現しなかった。このモジュールは電圧の高低で ADSR の各タイム(またはレベル)をコントロールするユニットで,アナログ・シーケンサーでハイハット・シンバルのオープン/クローズとコントロールしたいときなどには不可欠のモジュールだった。

 このモジュールはその後の System-100M のときにも実現しなかった幻の企画となってしまった。


●System-700 を自由にいじれるショールームは ROLAND が東京と大阪に 1 箇所ずつ開設していた。また神田商会ではこの楽器と 8 トラックの多重録音システムを格安の料金でレンタルするミニ・スタジオを設置しており,制作/プロモーションに役立てていた。

 特に東京ショールームは録音機材やエフェクターも完備していたため,当時多数作られていた低予算シンセサイザー・レコードを作る怪しげな制作関係者が『スタジオと会社の名前を出すからスタジオを無料で貸してほしい』とよくやって来た。


●System-700 はメイン・コンソールだけでも使用でき,単独販売もしていた。また,同シリーズの最小システムとして VCO バンクと同じサイズのキャビネットに 3 VCO,1 VCF ,1 VCA を搭載したラボラトリー・システムも販売されていた。もっともラボラトリー・システムを購入する資金があるなら同時期に発売された System-100 のフルセットに拡張用のエキスパンダーをもう 1 台追加したほうが,ずっと得だった。


●System-700 は色々な放送局にも納入されたが,その後の使用方法については私が現場に出向いて解説や音作りをすることも多かった(まだ 17 才くらいだったけど...)。そんななかで,TBS で初めて System-700 を全面的に使って音楽を作ったのがなんと,『ピンク・レディ VS キャンディーズ』という番組のタイトル・バックだった。当時キャンディーズが突然解散宣言して大騒ぎになってしまった,というので話題になったライブである。この曲ではシンセの大半のパートを私が音作り/演奏をしているが,残念ながら番組を見損なってしまった。誰か録画してる人がいたらご一報を...


●System-700 制作の一つの狙いに ROLAND の技術力を世界にアピールするというのがあった。同機とその後発売になった MC-8 の組み合わせは本やテレビで多数取り上げられ,その目的は大成功に終わったといえるだろう。


●ビンテージ市場に System-700 が現われるのは稀である(1980 年代には普通の楽器店でもよく中古を見かけたのだが...)。フルセットで 100 ~ 150 万円くらいなら買いだが,150万以上するならその他の機種(MOOG や POLYFUSION)を探したほうが得である。

 ただし System-700 の耐久性は高く,故障は少ないので買ってからも安心して使えるとは思う。


外部とのインターフェイス

CV/ゲートのイン/アウト:あり

MIDI:改造は不可能

 MIDI→CV コンバーターの利用で各種コントロールが可能