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Analog Synthesizer Lecture
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シンセで作るオナラの音:

注:この原稿は2003年9月に無料誌のデジレコに掲載した物に加筆訂正を行っています。

 

 1976年頃、ローランドは大型シンセサイザー System-700 を発表した。このシンセサイザーは6種類のコンソールからなり、総額240万円で、プロ/教育市場に投入された。当時、同社開発室でアルバイトをしていた私は、このシンセが売れると導入講習兼オペレーション兼演奏のような事をやりに行く事があった。そんな中で半年ほどよく通ったのがTBSだ。ここでは効果音から演奏まで様々な番組に System-700 が使用され、音作りと演奏の両方ができる私は結構重宝がられた。なにせ、まだ10代なのに2時間ほど音を作って演奏すると当時の金額で3〜5万円くらいもらえるオイシイ仕事だった。


 そんな中ドリフの全員集合にもかかわり、一度、故いかりや長介さんとの制作に参加した。その回はパトカーを修理するとサイレンの音がピ〜ポ〜ピ〜ポ〜からメロディになって「でたでた月が」になるという物だった。


 で、その後いかりやさんはジっと考え「ここの次はオナラですね。ブッとか出ますか?」という話になったのだ。私は肛門の形と、そこから出る音の共振についてあれこれと考えた。恐らく直腸から発せられる音の元は三角波と鋸歯状波の中間ぐらいのはずだ。そしてそれが肛門の肉を通り過ぎる瞬間にモジュレーションされるだろうと考えた。プス〜っとくるなら最初の瞬間に倍音が多く、続けてホワイトノイズに移行する。ブリブリっと来るなら、かなり複数の肉に振動が起こると考えられ、複数の LFO で VCF/VCA にモジュレーションをかける必要があると思った。


 しかし、当時の全員集合ではオナラの効果音は優れた素材があった。ネタはオナラ音のレコード「ワンダープーランド」からのものらしいが、いずれにしてもその場で考えた結果「本物(またはそれに類する)のネタがあるなら、それを使ったほうがリアリティーがあると思う」という事で、シンセによる音作りはやめになった。


 それから25年以上たち、8時だよ全員集合は DVD となって登場した。この中で、加藤茶が歩きながらオナラをするシーンがある。これを見て私は「あ〜、この手があったか!」と思ったのだ。この話では加藤茶は最初と最後に長いオナラをする。この部分は本物の音を利用しているが、歩くシーンではシンセのオナラ音が使用されている。


 波形的には単音の細めのパルス波を細工せずに出力し、歩きに合わせて絶妙なピッチベンドが加えられている。なるほど、頭に生音が入ると続く音が合成音であっても違和感がないのだ。これはサンプリングによるオーケストラを作る時に1本だけ本物のバイオリンを入れると、いきなり全体が本物のオーケストラのように聞こえてしまうという現象に似ている。人間の耳は騙されやすいのだ。


 パルス波は楽器ではオーボエやファゴット等ダブルリード系楽器に利用される音源で、パルスの幅によって特定の倍音が打ち消される。こう考えると、加藤茶のオナラの音は肛門が痔の傾向にあり、飛び出した肛門の肉が直腸からの空気振動の特定倍音を相殺したと考えられる。


 ダブルリード系楽器は2枚のリードを合わせて音を出しているわけだから、パルス波で作ったオナラの音を出した肛門も、かなり激しい痔のために、肛門の肉が2カ所平行に飛び出しており、そこを空気が通過して発音したと考えられるわけである。

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