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Analog Synthesizer Lecture
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VCA(Voltage Controlled Amplifier):

a:VCA の基本   b:色々なシンセの VCA パネルを見てみる

a:VCA の基本:

 ・VCA は Voltage Controlled Amplifier の略で、日本語では電圧制御増幅器となる。

 ・VCO、VCF の解説でも書いたように「Voltage Controlled」の意味は「電圧で制御されたという事で、VCA の場合、音量を入力電圧の高低でコントロールする。

 ・VCA では CV in に入って来た制御電圧が高ければ大きな音に、小さければ小さな音が出力される。

 ・VCA の複数の CV in に接続された電圧も VCO や VCF と同じように加算されて VCA 本体に送られる。

VCA の CV in の概念図

VCA の CV in の概念図

 ・VCA をサイン波の LFO でモジュレーションした効果をトレモロと呼ぶ。

 ・また、プリセットシンセ等では LFO の鋸歯状波でモジュレーションした場合をマンドリン効果と呼ぶ事がある。鋸歯状波でモジュレーションした音は何度も繰り返す音になるため、弦をピックで繰り返し弾くマンドリンの音に似ている事から来ている。マンドリン効果(エフェクト)は電子オルガンの効果ボタンに付いている事も多い。



 


 ・VCA は音声信号だけではなく、CV の大小をコントロールするためにも使われる。例えば鍵盤を弾くと徐々にビブラートがかかり出すディレイビブラート効果は下図のように、簡易エンベロープ・ジェネレーターと VCA の組み合わせによって動作している。


VCA によるディレイ・ビブラート

DelayVibOK


 


 ・次の2つの例では VCA を2つ使い、音量を制御する(ダイナミックスを付ける)方法を示している。1番目の方法は音声信号が2つの VCA を通過するため、音質が落ちる。その代わり、操作は分かりやすい。2番目の方法は Envelope Generator の CV の大きさを VCA でコントロールするため直感的に分かりにくいが、音質は良くなる。


 


<方法1>1番目の VCA で音量制御

vcadyn1


 


<方法2>1番目の VCA で Envelope Generator の電圧の高さ制御

vcadyn2


 


VCA の設定 Initial Gain:

 ・Initial Gain は VCA に固定の電圧を加算するボリュームである。このボリュームを上げると VCA はオープンし、入力信号は CV の信号と関係なく出力される。

 ・Initial Gain の応用方法のひとつにステージなどで効果音を出しっぱなしにしたい時の利用がある。プリセットシンセなどでは Hold というスイッチになっている物もある。このスイッチをオンにすると VCA は全開になり Initial Gain を 10 にしたのと同じ事になる。

 ・Initial Gain の概念図を以下に示す。

Initial Gain の概念図

Initial Gain の概念図



 


VCA の設定 Liner と Exponential:

 ・モジュラーシンセの VCA には、CV に対する VCA の効き具合に Liner(リニア=直線)と Exponential(エクポネンシャル=指数関数)の2種類がある。

 ・Liner は CV に対して出力電圧が比例する。これに対して Exponential は CV に対して出力の db 値が比例する。

 ・通常のシンセの VCA は Liner である。

 ・Exponential な特性の CV と増幅率は以下のような指数関数の曲線となる。

Exp

Exponential カーブ

 ・VCA の Exponential はアタックの鋭いパーカッションサウンドを作る場合に利用される事になっている。ただし、メーカーによって回路の設計が違うらしく使えないケースもある。例えば Moog のモジュラーシンセの VCA で Exponential を選ぶとパーカッシブな鋭い音が作れる。しかし、同様の事を Roland のモジュラーシンセの VCA でやると、あまりにもカーブが鋭すぎて、一瞬パスっという音がするだけで、ほとんど音にならない。

 ・Exponential の使い方はもうひとつある。それは VCA でダイナミックスを付ける場合である。上図の VCA でダイナミックスを付ける方法で説明した VCA 1 のセッティングを Exponential にセットするというやり方である。


 


<参考>

 ・Exponential カーブの音量変化は聴感上のダイナミックス(f, mf, p, mp 等)とコントロールする電圧の数値が正比例になる、という事になっていた。聴感上の f(フォルテ)や p(ピアノ)の音量変化は指数関数的に変化すると考えられており、その論理で行くと<方法1>で VCA 1 を Exponential にセットすれば音量制御が直線的な数値で制御されるはずだった。

 ・この方法は Roland が提唱したもので、同社では 1970年代に発売されたコンピューター制御のシーケンサー による音量コントロールを行う場合、上図の<方法1>のやり方で VCA 1 を Exponential にセットしてダイナミックス・コントロールを行うよう推奨していた。MC-8 は 127 段階の CV を出力する事ができるシーケンサーだったが、この MC-8 の CV をダイナミックス・コントロール用として使用し、VCA を Exponential にセットすれば、MC-8 のデータ値と聴感上の音量変化感は以下のようになるはずだった。

mc8dyn

MC-8 と表情記号の関係

 

 ・「なるはずだった」と書いたのは、実際に MC-8 と System-700 を買って実験してみると、表情記号と数値は一致しなかったのである。もし、127 段階の CV で VCA を制御してダイナミックスをコントロールしたい場合には、VCA にある INITIAL GAIN を 30%〜50% くらいまで上げて使用するとうまく行くだろう。

 ・上記のようにメーカーの推奨どおりには行かなかったダイナミックス・コントロールだが、やはり VCA で使用するカーブは Exponential を使用した方がうまくいくように思う。

 ・なお上記の<方法2>のように、Envelope Generator の電圧の高さを VCA 1 でコントロールする方法だと、Exponential によるコントロールはかなり難しくなると思う。



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