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VCO(Voltage Controlled Oscillator):

a:VCOの基本   b:色々なシンセの VCO パネルを見てみる

b:色々なシンセの VCO パネルを見てみる:

 VCO の規格は統一されているが、各社のシンセのパネル上では少しずつ各部の名称が違っている。以下に何種類かのシンセの VCO 部分のパネルを解説する。

 


Minimoog の VCO パネル:

Minimoog の VCO パネル

 Minimoog のオシレター。画面中央の OSCILLATOR BANK には3つの VCO(表記は OSCILLATOR) がある。

 最上段の OSCILLATOR-1 には、RANGE と WAVEFORM の切り替えスイッチがある。RANGE は VCO 1 の音域切り替えで、8’(8フィート)を基準に4’はオクターブ2’オクターブ上に、16’は1オクターブ、32’は2オクターブ下に音域が移調される。

 LO では VCO を LFO 代わりの低周波発振器として使える。特に OSCILLATOR-3 はビブラート等のモジュレーション用にも使用できる。また、OSCILLATOR-1 の WAVEFORM を矩形波にして、RANGE を LO にすれば心臓の鼓動の音のような音を作る事ができる。

 WAVEFORM は波形の切り替えスイッチで、左から三角波、鋸歯状波と三角波の合成波、鋸歯状波、矩形波、太いパルス波、細いパルス波の6種類の波形が選べる。パルス波のパルスワイズは固定になっている。


 2段目の OSCILLATOR-2 も OSCILLATOR-1 とほぼ同じだが、中央に FREQUENCY のボリュームがありピッチを微調整できる。よく使われるのは OSCILLATOR-1 に対して、ユニゾンまたは完全5度に音程をセットするパターンである。


 3段目の OSCILLATOR-3 は OSCILLATOR-2 によく似ているが、一番左に OSC.3 CONTROL というオレンジのスイッチがある事である。このスイッチをオンにすると、OSCILLATOR-3 は鍵盤からの KCV で演奏できる(つまり音階が鳴る)が、スイッチをオフにすると鍵盤の音程に関係なく常に RANGE と FREQUENCY で設定した周波数の波形を出力する。通常のビブラートの場合は、このスイッチをオフにして使用する。このスイッチをオンにして LFO として使用すれば、音域によってスピードの違うビブラートや、RANGE を上げればリングモジュレーターのような金属音を作る事も可能である。
 

 また、OSCILLATOR-3 の WAVEFORM の2番目と3番目は方向の違う鋸歯状波が選択できる。これは例えばビブラートに使った場合、音程が下降するビブラートか、上昇するビブラートか、を選ぶ事ができる。


 OSCILLATOR BANK の左上にあるオレンジのスイッチは OSCILLATOR MODULATION のオン/オフスイッチで、これがオンの場合に、鍵盤左にあるモジュレーションホイールからの電圧が OSCILLATOR BANK に送られ、ビブラート効果が得られる。



 


Moog Liberation の VCO パネル:

Moog Liberation のVCO パネル

 同じ Moog の製品でも Liberation はショルダーシンセのため、VCO のパネルは全く違う。

 Liberation は 2 VCO タイプである。Minimoog で RANGE と呼ばれていた音域切り替えスイッチは、ここでは OCTAVE と表記され、OSC 1 と OSC 2 の音域をまとめて変える方式になっている。したがって OSC 1 を 32'、OSC 2 を 4' と言った組み合わせはできない。

 ただし、下部の INTERVAL ボリュームにより OSC 2 のチューニングをオクターブまで変更できるので、2つの VCO をオクターブのチューニングに設定する事が可能である。

 また WAVEFORM も「OSC 1, 2 共に鋸歯状波」か「OSC 1 が矩形波、OSC 2 がパルス波」の二つの組み合わせしかできない。

 しかし、実際のステージ演奏の際にはこの程度でも充分であり、コンピューターによるプリセットが存在しなかった当時、あまり機能が増えると瞬間的な切り替えに混乱をきたすことになったわけである。

 また SYNC に関しては、OSC 2 が OSC 1 をシンクするという設定(ON)と、同様だがシンクされる OSC 1 のピッチを鍵盤を押し込む強さによって変える(CONTOURED)というモードがある。CONTOURED の場合、演奏中に鍵盤を強く押し込むと、その度合いによって OSC 1 のピッチが変化するため、出て来る音色はギターのフィードバックのようなサウンドになり、ステージ上でギターに対抗して演奏するのに効果的だった。

 


Arp Odyssey の VCO パネル:

Arp Odyssey の VCO パネル

Arp Odyssey の VCO パネル

 Arp Odyssey は、Minimoog の対抗機種であるが、パネルの設計コンセプトは Minimoog とは対照的に複雑である。VCO は2つであるが、LFO、Sample and Hold を搭載し、それらをスイッチ切り替えでルーティングできるわけだが、Odyssey では、その組み合わせが非常に良く考えられ自由度が高くなっている.

 日本のシンセでもスイッチ切り替えで、一見すると自由度が高い内部結線ができるように見えるものも多いが、実際使ってみると「この組み合わせができて、なんでこれができない!」みたいに腹立たしくなる事が多い。これからシンセを作ろうとするメーカー(そんなもんあんのか?)は Odyssey の内部ルーティングの妙を研究すべきである。

 VCO のチューニングは RANGE や FREQUENCY というボリュームはない。その代わり大まかなチューニングをする COURSE と、ピッチの微調整をする FINE がある。RANGE のように瞬時にオクターブ切り替えができない反面、COURSE ではピッチを大幅に変化させる効果音にも利用できる。考え方は一長一短である。

 VCO の出力はいずれも鋸歯状波かパルス波である。波形の選択はミキサー側にある波形選択スイッチで行う。

 VCO のピッチモジュレーションは下部の FM というセクションで行う。LFO、Sample and Hold(表示は S/H)、ADSR(Envelope Generator)からの CV をスイッチで選択してモジュレーションに使用できる。

 LFO の深さは VCO 1 と 2 で別にする事ができる。これは2つの VCO の LFO モジュレーションの深さをまとめて変える事ができないという問題が発生する代わりに、深さや波形の違うモジュレーションをかける事ができる。これまた、どちらが良いか?は考え方次第という事になる。

 VCO のモジュレーションで偉力を発揮するのが VCO 2 にある S/H MIXER or PEDAL というスイッチポジションである。ここで PEDAL は外部インプットに接続したペダル(またはそれに類するコントローラー)でピッチが変わるわけだが、S/H MIXER では、VCO セクションの隣にある S/H MIXER の出力電圧で VCO 2 にモジュレーションをかけられる。S/H MIXER の写真を以下に示す。

Arp Odyssey のS/H MIXER パネル

Arp Odyssey のS/H MIXER パネル


 S/H MIXER を使ったモジュレーションでは、VCO 1 のアウトで VCO 2 にモジュレーションをかける事が可能となる。VCO 1 の発振周波数が高ければリングモジュレーションのような効果が(ただし Odyssey にはリングモジュレーターも装備されている)、周波数が低ければ LFO としてのモジュレーションが可能になる。この場合、VCO 1 の上部にあるスイッチが AUDIO KYBD ON 側になっていれば、鍵盤の位置によって異なるスピードの周波数を発振する LFO として、スイッチが L.F. KYBD OFF 側になっていれば通常の LFO のように VCO 1 を使用する事ができる。

 また、VCO 1 のピッチを LFO でモジュレーションし、その信号で VCO 2 にモジュレーションをかければモジュレーションスピードの変化する LFO として使用する事が可能。

 さらに、同様のセッティングで、VCO 1 のピッチのモジュレーションを ADSR(Envelope Generator)で行えば、鍵盤を弾くと ADSR のセッティングにしたがって、時間と共に発振周波数の変化する LFO としても使用できる。

 同様のセッティングで ADSR ではなくS/H(Sample and Hold)で VCO 1 のピッチをモジュレーションし、S/H を KYBD TRIG にすると、鍵盤を弾くたびに異なった発振周波数を出力する LFO としても使用できる。これらは、Minimoog では出来ない離れ業で、モジュラーシンセで行われるようなパッチングに近い。

 上記にも書いたが、Arp Odyssey の外観だけを真似たシンセでは、このような面白いパッチングが出来ないのである。

 パルスワイズは VCO 1, 2 共に、PULSE WIDTH のボリュームでコントロールする。パルスワイズモジュレーションとして LFO と ADSR の二つのソースを選ぶ事ができる。

 SYNC はオンにすると VCO 2 のピッチが VCO 1 のピッチに揃えられる。Arp Odyssey のシンクの効き具合はエゲツなく、非常に刺激的である。


 


Arp Solus の VCO パネル:

Arp Solus の VCO パネル

Arp Solus の VCO パネル

 Arp Solus では Odyssey よりも各部が簡略化されている。VCO は2つだが、パルスワイズジュレーションのソースは両 VCO 共通で PWM SOURCE のスイッチで ADSR か LFO を選択する。またビブラートはサイン波の場合、左にある VIBRATO DEPTH で2つの VCO をまとめてコントロールできる。

 各 VCO にある WAVEFORM MIX では、鋸歯状波から矩形波までを連続可変でき、中間位置では複雑な倍音を含む波形が出力される。

 その他の部分は Odyssey に近いが、Sample and Hold 等がないため、出来る事が極端に減っている。

 


Octave Cat の VCO パネル:

Octave Cat の VCO パネル

Octave Cat の VCO パネル

 Arp Odyssey のパクリだと裁判沙汰になったのならないの、という Octave の Cat である。

 VCO は2つある。VCO 1 のチューニングは COARSE と FINE が、VCO 2 には FINE TUNE のみがある。VCO 1 では COARSE の設定で LFO として使用する事も可能になっている。

 ピッチモジュレーションは両 VCO 共に2つある。 VCO 1 ではサイン波/矩形波の LFO、S+H(Sample and Hold)のいずれかを選択、また ADSR、AR(ADSR の簡易版)、VCO 2 のアウトのいずれかを選択して MODULATION DEPTH でかかり具合を調整できる。VCO 2 で VCO 1 をモジュレーションすればリングモジュレーターのような効果が得られる。

 VCO 2 のピッチモジュレーションも VCO 1 とほとんど同じだが、VCO 1 からのモジュレーションが可能という点だけが違っている。ここで、VCO 1 を VCO 2 で、VCO 2 を VCO 1 で、お互いにモジュレーションし合うと、クロスモジュレーションを作り出す事が可能となり、より複雑な金属系の音を作る事が可能となる。

 パルスワイズモジュレーションは VCO 1 のみ可能で、モジュレーションソースは LFO のサイン波か DC である。DC は直流の事で電圧の変化はない。したがって PULSE WIDTH のボリュームでパルス幅を変えるのみの動作となる。これは PULSE WIDTH に WIDTH と MODULATION の2つのボリュームがないための措置である。

 VCO 1 の上にある KEYBOARD CONTROL のスイッチには POLY と OFF と MONO の3つのポジションがある。

 POLY では鍵盤で2音演奏が可能となる。この場合、VCO 1 は弾いた音程のうち最高音を、VCO 2 は最低音を出力する。

 OFF では VCO 1 にはキーボードからの CV が行かなくなり、周波数固定のオシレターとなる。VCO 1 を LFO として使用したり、クロスモジュレーション時の特殊効果時に使用したりする。

 MONO では鍵盤で弾ける音程は1音となり、複数の鍵盤を押さえた場合にはその内の最低音を両 VCO が発音する。

 SYNC では VCO 1 のピッチが VCO 2 のピッチと強制的に一緒になる。

 VCO の出力波形は各々の AUDIO LEVEL でミックスされて VCF に送られる。VCO 1 では SUB OCTAVE、鋸歯状波、三角波、パルス波が、VCO 2 では SUB OCTAVE、矩形波、鋸歯状波をミックスできる。

 SUB OCTAVE は VCO が発振している音程の1オクターブ下の矩形波である。



 


Roland SH-3 の VCO パネル:

ローランド SH-3 のVCO パネル

ローランド SH-3 のVCO パネル

 SH-3 はローランドが1974年に発売したシンセ。VCO は1つ。

 このシンセの VCO は 32', 16', 8', 4', 2' の各音域のスライダーを持ち、各々の音域の波形を矩形波、パルス波、鋸歯状波から選べる。更に 8' には CHORUS 効果のボリュームが付いている。コーラス効果は早さ固定で深さだけを調整できる。複数の音域をミックスできるが、1つの VCO を分周しているだけなので、分厚い音になるわけではない。

 LFO は2系統あり、鋸歯状波、矩形波、サイン波の切り替えスイッチと、ビブラートのデプスボリュームが上部に付いている。



 


Roland AH-7 の VCO パネル:

Roland SH-7 の VCO パネル

Roland SH-7 の VCO パネル

 1978年発売の Roland SH シリーズのシンセの中では最上位機種。VCO は2つ。

 写真を見るとわかるように構造はシンプルで、両 VCO 共に同じボリュームが付いている。RANGE は音域切り替え、WAVE FORM は三角波、鋸歯状波、矩形波、パルス波を選択。PULSE WIDTH では、モジュレーションソースを LFO、ENVELOPE-1、マニュアルで切り替えられ、MOD ボリュームで深さを調整する。

 VCO 1 には右上部に SH-3 と同じような 32' 〜 2' までの矩形波をミックスするフェーダーが付いている。このフェーダーも分周による音源の為、音が厚くなるわけではない。

 上部中央に VCO 2 のチューニングをはさんで、左上に AUTOBEND TIME と、POLARITY という謎の機能が付いている。AUTOBEND は鍵盤を押すたびにピッチを下または上からベンドする機能で、ポリフォニックシンセのブラス音ではよく使われる方法ではあるが、モノフォニック(デュオフォニック)のシンセにわざわざ付けるようなもん?と結構疑問である。私なら 32' 〜 2' のフェーダーと AUTOBEND を取っ払って VCO 用のエンベロープジェネレーターを付けますけどね。

 で、両 VCO の左に LFO、AUTOBEND、S/H(Sample and Hold)のデプスボリュームがある。

 両 VCO の中央に SYNC の ON/OFF スイッチがあるが、このシンクは2つの VCO のピッチが本気でシンクする。本気でシンクし過ぎて音色が全然変わらない。よって何の意味があって付いているのか正体不明のスイッチである。

 なお2つの VCO を(Octave Cat のように)モノで使うか上下2音優先にするかの切り替えスイッチがパネル左端にある。モノにセットすると最高音優先となる(この辺も最低音優先の方が良いと思うんだが)。



 


Roland SH-101 の VCO パネル:

Roland SH-101 の VCO パネル

Roland SH-101 の VCO パネル

 ローランドのチープ系シンセ SH-101。VCO は一つで写真のようにとてもシンプル。MOD での波形はモジュレーターセクションで選択する。この場合サイン波や矩形波の他に RANDOM (Sample and Hold)の他に NOISE が選べる、NOISE で VCO をモジュレーションすると、爆発音のような効果音を作る事ができる。

 その他の機能については SH-7 とほぼ同等。

 波形のセレクトは VCO 側ではなく、右隣にある SOURCE MIXER で行う。ここではパルス波、鋸歯状波のレベルの他に、SUB OSC、NOISE のレベルが調整できる。

 SUB OSC は VCO の1オクターブ下の矩形波、2オクターブ下の矩形波かパルス波を選択できる。テクノ系のベースでベースに低い成分が含まれているケースではこの SUB OSC を使用している事が多いようである。



 


Roland SYSTEM-100M の VCO パネル:

Roland System-100M の VCO

Roland System-100M の VCO

 Roland SYSTEM-100M シリーズの VCO でモジュール#112。これは2つの VCO が入っている。

 ここまで読んでこられた方はもう写真を見て分かると思うけど、出力波形は三角波、鋸歯状波、パルス波の3つ。EXT PW MOD はパルスワイズの外部コントロール CV IN。SYNC には各々に OUT と IN があり、どちらがどちらをシンクしても良い。またシンクモードには WEAK と STRONG がある。

 下部には3つの CV IN がある(表記は MOD IN)左側のボリュームには KYBD と書かれた部分があり、何も差し込まなければデフォルトで KYBD CV が接続され、ジャックをさせば、そちらの CV が優先される仕組みになっている。KYBD CV の場合、ボリュームを10まで上げた時に鍵盤の音程通りの周波数を発振する。



 


Korg の インターフェイスパネル:

Korg の CV インターフェイス部

Korg の CV インターフェイス部

 最後に Korg のシンセ、Σ(シグマ)の背面のインターフェイス部分を紹介しておこう。このシンセでは Oct/V と Hz/V の端子が混在している。また VCF、VCO のコントロール CV の幅がまちまちで、使っていると混乱する。恐らく、時期的に Oct/V が一般的になり始めたが、以前の Korg の製品の方式も踏襲するための苦肉の策では?と思われる。



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