QLOOKアクセス解析
Analog Synth 開発プロジェクト
Shopping, Education and Fun!

初期シーケンサーを使った音楽色々1 :

🔴アナログ・シーケンサーを使った音楽:

 1960年代の終わりに登場し、クラシックとしては異例の大ヒットとなったのが Switched on Bach です。このアルバムはウォルター(ウェンディ)・カルロスが Moog IIIc を使ってバッハの曲を演奏しています。非常に正確な演奏が展開されていますが、これをシーケンサーを使って演奏しているのか、テープスピードを半速に落としてゆっくりと弾き、それを元の速度に戻して再生する方式で作っているのかは定かではありません。個人的にはテープ半速作戦のような気はしていますが…



 1970年初頭、日本の作曲家の冨田勲が発表したのが「月の光」でした。日本では相手にされず、アメリカの RCA に持ち込んだ所、大ヒットとなったといういわくつきのアルバムです。当時、日本ではシンセサイザーのレコードがレコード屋の効果音のコーナーに入れられていたというくらい、とんでもない状況でした。

 このアルバムはドビッシーのピアノ曲をシンセサイザーで演奏していますが、その中で「雪が踊っている」「パスピエ」等の正確なアルペジオは明らかにシーケンサーによるものと思われます。



 クラシックを題材にしたシンセのアルバムは、この他にもハンス・ウールマン等の音楽家により発売されましたが、ロック系ではイギリスの Emerson, Lake & Palmer(通称 ELP)がアルバム「恐怖の頭脳改革」でシンセの演奏の中にシーケンサーのフレーズを紛れ込ませました。

 「悪の教典 #9」の「第3楽章」ではシンセのメロディーで鍵盤を押し続けるとシーケンサーがスタートし、演奏した音程から始まる早い上行パターンを繰り返します。

 また同曲のエンディングでは24音の繰り返しパターンが徐々に早くなり、最後はいきなりカットアウトして曲が終わる、という斬新な事をやっています。



 イギリスやアメリカのロックではエモーショナルなシンセサイザーの使い方が多かったのですが、ドイツでは全く違うアプローチのシンセ音楽が登場します。その一つがタンジェリンドリームです。彼らは電子音を使った実験的な作品を発表していましたが、1974年発表の「フェードラ」、1975年発表の「ルビコン」でシーケンサーによるリズムパターンを大胆に取り入れた音楽を作り出します。

 彼らが使っていたシーケンサーは Moog の 960 というタイプですが、このシーケンサーには音列を Skip する機能がありました。例えば「ド>レ>ミ>ファ>ソ」と繰り返しているシーケンスの3番目を Skip すると「ド>レ>ファ>ソ」となり、2番目と3番目を Skip すると「ド>ファ>ソ」の繰り返しになる、といった具合です。

 この手法について、詳しくは Arturia の Moog 解説のページに記載していますから、そちらも参照してください。

  



 同じドイツで、タンジェリンドリームにも関わったクラウス・シュルツ(シュルツェ)もアナログ・シーケンサーが多用しています。特にアルバム「Mirage」の2曲目「Crystal Lake」では8つの音の繰り返しパターンにディレイをかけ、複雑なリズムに聞かせるという手法を聞くことができます(この原稿執筆時点でとんでもない価格がついてますが)。

  



 フランスのシンセプレイヤー、ティム・ブレイクのアルバム「Blake's New Jerusalem」の「Lighthouse」では繰り返されるベースパターンの他に、効果音にもシーケンサーが使われています。



 ドイツの Michael Hoenig(ミヒャエル・ヘーニヒ)のアルバム「Departure from the Northern Wasteland」(1978年)もタンジェリンドリームスタイルのベースパターンをシーケンサーで演奏させています。上記 Phaedra や Rubycon が好きな人にはオススメ!



 テクノの大御所、クラフトワークの「アウトバーン」もシーケンサーの使用ではあまりに有名です。彼らはリズムボックスとシーケンサーがシンクするように細工してパターンを作成していました。ちなみに昔出た廉価版 LP の裏側のシンセ解説は10代の頃の私が書いたものだったりして…



 ギリシャのバンゲリスもアナログシーケンサーを多用していました。彼の代表作である映画「炎のランナー」のテーマ曲のバッキングは、ベース音とホワイトノイズによるパーカッションを8ステップのシーケンサーで演奏させていました。またアルバム「螺旋(Spiral)」の表題曲も色々なシーケンスのパターンが使われています。

 バンゲリスは1970年代からシンセやシーケンサーに Roland 製品を使用しており、写真にも Sysmte-100 のシーケンサーが写っていました。当時、Roland 製品はまだ世界的には全く無名でしたが、その頃 Roland の技術部でアルバイトをしていた私の使命の一つに「海外の有名アーティストで Roland 製品を使っている人を探す」というのがあり、バンゲリスの写真で彼が Roland と Korg 製品を多用していたため、関係者は大喜びでした。