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アナログシーケンサーの応用6 :

🔴System-700 の VCO でも問題を解決する方法はある:

 では System-700 の VCO では、ゲートタイムの長さを変える事は絶対上手くいかないのでしょうか?


 実は色々とパッチを工夫すると問題を解決できる方法があるのです。かなり複雑怪奇ではありますが、以下にコンパレーターを使った方法を説明したいと思います。

 ここでは System-700 の 723A Analog Switch の同等の機能を持つ System-100M の 173 SIGNAL GATE を使って説明します。他社の製品でも同様の機能のモジュールが色々ありますから、もし皆さんがこれを試してみたい時には、ご自身のモジュールに置き換えて考えていただければと思います。



 ここで使おうとしている SIGNAL GATE は、コンパレーターの一種ですが、残念ながらスレッショルドレベルを CV コントロールする機能は持っていません。コンパレーターモジュールは色々な会社から出ていますが、CV コントロールできない場合もあるわけです。しかし、諦める必要はありません!代用の方法でスレッショルドレベルを CV コントロールするのと同等の機能を作り出せるのです!


 その方法とは、スレッショルドレベルを CV で上下する代わりに、ミキサーを使って入力につなぐ信号に LFO 等の別な電圧を足して(または引いて)、スレッショルドが上下したのと同じ効果を得るやり方です。

 こういった効果を「オフセットを付ける(かける、足す等言い方は色々)」と言います。日本語では「下駄を履かせる」とよく言われます。

 この「オフセットを付けた」状態を以下の図に示します。

PWMOffset

 スレッショルドレベルは固定で、ミキサーを使って信号に「下駄を履かせて」パルスの幅を変える概念は、動画の以下の部分で紹介されています。





 次に System-700 の VCO ですが、下のパネル写真(赤丸)を見ると分かるように鋸歯状波の波形は Up Saw です。

VCO


 上記のようにシーケンサーのステップを進めるのに必要なのは Down Saw です。そこで信号の ± の極性を反転させるインバーターを利用します。

 インバーターは独立したモジュールもありますし、System-700 や 100M のように Mixer のアウトプット端子に極性が逆転した Inverted Out(100M の表記は INV OUT)を持つものもあります。

 ここでは動画を撮影しやすかったので System-100M のモジュール 132 の 4 Channel Mixer で話を進めましょう。以下が、この 4 Channel Mixer の写真です。132 にはこのミキサーが2つ入っています。

Mmixer

 また、電圧の供給源として、前回も使った VOLTAGE PROCESSOR を利用しています。

VoltageProc VoltageProc1



 で、「SIGNAL GATE」、「MIXER」、「VOLTAGE PROCRESSOR」の3つを組み合わせれば、シーケンサーの CH-2 の電圧の高低でゲートタイムを変える事ができます。

 全体の接続図は以下のようになります。

AnSeqGtTime700VCO


 図を説明すると、

1:System-700 VCO から Up Saw の鋸歯状波が出力される。これではシーケンサーのステップを上手く進められないので、Mixer 1 に入れ、Inverted Out から極性が上下逆転した Down Saw を取り出す。この時 Voltage Processor からマイナスの電圧を加え、反転して下がってしまった全体の電圧の高さを持ち上げる。

2:Mixer 1 の Inverted Out をシーケンサーの Trig In に接続する。これで System-700 の VCO から鋸歯状波が一つ出力される毎に、シーケンサーは確実に1ステップずつ進む。

3:Mixer 1 の Non Inverted Out(Up Saw)の出力を Mixer 2 につなぎ、シーケンサーの CH-2 の電圧(ゲートタイムコントロール用電圧)とミックスする。

4:その Mixer 2 の電圧(シーケンサー CH-2 の電圧+Mixer 1 の Up Saw)を Inverted Out から取り出す。この電圧は Down Saw で、一波形毎にシーケンサー CH-2 の電圧が上下逆転した状態で足されている。

5:この電圧をコンパレーター代わりの SIGNAL GATE に入れる。SIGNAL GATE の Signal In には Voltage Processor のプラスの電圧がつながっている。SIGNAL GATE がオンになれば、出力には Voltage Processor からの電圧が出力される。オフだと何も出力されない。

6:この SIGNAL GATE の出力をシンセの Envelope Generator につなげば、シーケンサーの CH-2 の上げ下げでゲートタイムが変化する信号でスタッカートやレガートのフレーズを作る事ができる。


 これで上記の System-100M の VCO でゲートタイムのコントロールが上手くいったのと同じ効果を得る事ができました。

 気をつける点として 4 Channel Mixer のアウトには Inverted Out を使って ± を逆にしていますから、CH-2 のボリュームを上げるとゲートタイムは短く、下げると長くなります。もし、ボリュームを上げた時にゲートタイムを長くしたい場合には CH-2 の CV を、もう一つ別な 4 Channel Mixer かインバーターに入れて極性を逆にすれば良いでしょう。



 説明が長くなりましたが、以上をまとめて解説しているのが次の動画です。